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見積書や請求書を、毎回ゼロから書いている——白紙から始めないための、AIの使いどころ
見積書を作ろうとして、真っ白なファイルを前に手が止まる。
そう感じたことはないだろうか。
金額はだいたい頭に入っている。
お客さまとの話も、もう終わっている。
それなのに、項目を並べて、単価を入れて、体裁を整えるうちに、気づけば一時間が過ぎている。
これは、事務作業が苦手だからではない。
「毎回ゼロから書いている」ことが、時間を溶かしているだけだ。
重いのは「書くこと」ではなく「毎回考え直すこと」
見積書・請求書の作業を分解してみる
見積書や請求書づくりも、分けてみると、いくつかの工程が重なっている。
| 工程 | 中身 | 毎回ゼロから? |
|---|---|---|
| 項目を決める | 何にいくらかかるのか、どう名前をつけるか | 過去の書類にほぼ書いてある |
| 金額を入れる | 単価×数量、小計、合計 | 式を一度作れば計算は自動になる |
| 文面を整える | 挨拶、有効期限、支払条件の書き方 | 毎回ほぼ同じ |
| 確認する | 金額、宛名、日付、振込先 | ここは人がやる |
こうして並べると、毎回本当に考えているのは、案件ごとに変わる部分だけだとわかる。
残りは、過去に自分が書いたものの焼き直しだ。
AIが力を発揮するのは、この「焼き直し」の部分になる。
手順一:過去の書類から、項目のひな形を作る
AIに読ませる
過去に出した見積書を、二、三枚集める。
それをAIに見せて、こう頼む。
「この見積書に共通している項目名と、よく使われる書き方を整理して、次回から使えるひな形の項目リストにしてほしい」
すると、バラバラだった言い回しが揃う。
「作業費」と「制作費」と「施工費」が混ざっていたのが、自分の仕事に合った呼び方に整理される。
個人情報は消してから渡す
ここで一つ、気をつけたいことがある。
お客さまの名前、住所、会社名、金額の細かい数字は、そのまま貼らない。
「株式会社◯◯」「A社」のように置き換えてから渡す。
AIに渡した内容がどう扱われるかは、使うサービスの設定や規約によって違う。
迷ったら、置き換えたうえで渡すのが安全だ。
手順二:話したメモから、見積の下書きを作る
打ち合わせのメモをそのまま渡す
お客さまとの打ち合わせのあと、メモは箇条書きの走り書きになっていることが多い。
その走り書きを、そのままAIに渡してみる。
「次のメモから、見積書に載せる項目と数量を整理してほしい。
金額が書かれていない項目は空欄にして、こちらで入れる」
大事なのは、後半の一文だ。
金額を勝手に補わせない。
わからない部分は空欄で返させる。
こう頼んでおくと、AIが数字を作り話で埋めてしまう心配が減る。
声で入れてもいい
打ち込むのが面倒なら、スマホの音声入力でメモを残して、それを渡す方法もある。
移動中に話しておいた内容が、そのまま下書きの材料になる。
手順三:表計算の式を、AIに書かせる
式が苦手でも大丈夫
見積書をExcelやGoogleスプレッドシートで作っているなら、計算の式はAIに書かせられる。
「A列に品名、B列に単価、C列に数量が入っている。
D列に金額、下の行に小計と消費税額と合計を出す式を教えてほしい」
返ってきた式を貼れば、数量や単価を変えるだけで金額が変わる表になる。
一度作っておけば、次からはコピーして使える。
式は、自分で試してから使う
返ってきた式は、そのまま信じない。
適当な数字を入れて、電卓の答えと合うかを確かめる。
端数の処理(切り捨てなのか、四捨五入なのか)は、書類の種類やお客さまとの取り決めで違うことがある。
そこは自分で決めて、AIには「切り捨てで」のように指定する。
文面のひな形も、いっしょに作っておく
挨拶・有効期限・支払条件は、毎回ほぼ同じ
見積書には、金額の表のほかに、決まり文句がある。
「下記のとおりお見積り申し上げます」という挨拶。
見積の有効期限。
支払いの時期や方法。
納期の目安。
これらは、案件が変わってもほとんど動かない。
だから、一度AIに案を出してもらって、自分の言葉に直し、ひな形の一部として固定してしまう。
「個人事業主として、取引先に出す見積書の挨拶文と、有効期限・支払条件の書き方の例を、堅すぎない丁寧さで三パターン出してほしい」
三つ出してもらって、いちばん自分らしいものを選ぶ。
選んだら、次からはそれをコピーして使う。
文面で悩む時間は、これでほとんどなくなる。
請求書は、見積書の続きとして作る
請求書は、見積書の内容を引き継ぐことがほとんどだ。
見積書の表をそのまま複製して、「請求日」「お支払期限」「振込先」を足す形にしておくと、転記のミスも減る。
見積書と請求書で、項目の名前や順番を揃えておくと、お客さまにも伝わりやすい。
AIに任せないこと:税金の判断
ここだけは線を引く
見積書や請求書には、消費税やインボイス制度(適格請求書)に関わる記載がある。
何を書く必要があるか、税率はいくつか、自分は登録が必要か。
こうした判断を、AIに決めさせてはいけない。
制度は改正されるし、事業の形によって答えも変わる。
AIの答えは、もっともらしく見えても、古い情報や一般論であることがある。
迷ったら、税理士か税務署に確認する。
AIには「確認すべき点を整理してもらう」ところまでにしておくのがいい。
任せる・任せないの整理
| AIに任せてよいこと | 人が持っておくこと |
|---|---|
| 項目名の整理、ひな形づくり | 金額の最終決定 |
| メモからの下書き | 宛名・日付・振込先の確認 |
| 表計算の式づくり | 税金や制度の判断(税理士に確認) |
| 挨拶文や支払条件の文面案 | お客さまとの約束事の確認 |
「AIが下ごしらえをして、人は判断と確認に集中する」 見積書でも、これは同じだった。
白紙から始めなくていい
一度ひな形ができると、次の見積書は「白紙」ではなくなる。
前回のものを開いて、変わる部分だけを直せばいい。
そこにAIの下書きが加われば、最初の一行に手が止まる時間は、ぐっと短くなる。
提案書のように、もっと大きな書類でも考え方は同じだ。
工程を分けて、AIの得意な部分だけを任せる。
その流れは、提案書づくりを分解してみた記事にまとめている。
自分の手で、仕組みにしておく
大きな組織の仕組みが変わるのを待たなくても、自分の書類づくりは、自分の手で軽くできる。
それには誰の許可もいらない。
AI-sozoでは、個人事業主や中小企業の方が、こうした身近な作業からAIを取り入れられるよう支援している。
自分の仕事のどこから任せると楽になるのか、まずは無料のAI活用セルフ診断で確かめてみてほしい。
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